天然物を利用した生体適合性材料および生分解性材料の開発
植物を構成するセルロースや、蟹や海老、甲虫の殻の主成分であるキチンや、それから得られるキトサンは、天然に多く存在する高分子であり、石油と違って再生可能な資源として将来の枯渇の心配が少ないうえ、これらの高分子は多くの石油由来の高分子とは異なり生分解性があるために、環境にも影響が少ないと考えられています。そこで、セルロースやキチン、キトサンを化学修飾することにより、石油由来の高分子と同等の加工性や強度を備えた材料開発を目指しています。さらに、キチンあるいはキトサンの誘導体は、生体適合性を備えていることも知られており、再生医療材料としての利用も見込まれます。特に、繊維状に加工した後に布状に編んだ物や、溶媒に溶解した後にシート状に製膜した物は、細胞増殖のための足場材料としての応用が期待されます。このように、生体に安全で生分解性に優れる材料の開発も合わせて進めています。