農業生産におけるエネルギーセキュリティと環境品質の向上をめざした低炭素戦略
近年、原油や天然ガスなど輸入化石燃料の価格が高騰し、産業活動に深刻な影響を及ぼしています。このことは、重油や軽油などにエネルギー源を依存する農業生産も例外ではありません。地球温暖化対策の面でも、第一次産業における化石燃料依存のエネルギー使用の合理化は必ずしも進んでいるとは言えません。この一因として、農業生産者にとって設備の初期費用が負担となることから、低炭素設備や省エネルギー技術の導入が十分に進んでいないことが挙げられます。こうした社会的な課題を受け、地域循環資源を活用して農業生産の低炭素化を図る地域グリーン?イノベーションの先導モデルを構築し、その促進を支える低炭素投資の制度的枠組みを設計?評価する研究に取り組んでいます。具体的には、ハウス栽培農家で使用されている重油焚き加温機(ボイラ)を、省エネルギー型のボイラ、地域内に賦存する木質資源等を燃料に用いるバイオマスボイラといった低炭素設備に置き換えることで、どのくらい温室効果ガスの排出量が削減可能かを定量的に明らかにしています。また、こうした低炭素設備の導入促進を支援するグリーン投資スキームの設計、運用の指針づくりも進めています。