紀伊半島における災害対応力の強化-想定を越える災害への備え(防災ジオツアー)-
2011年(平成23年)の東日本大震災と紀伊半島大水害は、これまでの災害対応を根本から見直すきっかけとなりました。これからの災害対応は、「災害に強いまちづくり」と「災害に強いひとづくり」を密接に結び付け、平時から継続して取組んでいくことが望まれます。そこで、このような取り組みの一つとして、地域資源を守り活用しながら防災対策と結び付けることで災害対応を地域振興へ転換する、すなわち防災とまちづくりの相乗効果で地域防災力を高める仕組みの構築を進めています。特に、都会から離れた中山間?沿岸地域(紀伊半島南部)を対象に、ジオツーリズムを通した防災教育システムの構築を目指しています。紀伊半島南部は平成23年台風第12号で土砂災害や河川災害が多発しました。復旧?復興は進んでいますが、その爪痕はいまでも至る所に残されています。また、南海トラフ地震により甚大な被害の発生が予想されている地域の一つでもあります。その一方、この地域の9自治体にまたがる南紀熊野ジオパークが2014年8月28日に日本ジオパークに認定され、ジオツーリズムを通した地域活性化への期待で盛り上がりを見せています。本研究では、このような特徴を持つ紀伊半島南部に注目し、地域資源であるジオ(地球)と災害現場を組み合わせた”防災ジオツアー”を検討し、防災教育システムとしての可能性を考察しています。