有害化学物質による土壌地下水汚染を浄化するための技術開発
水俣病やイタイイタイ病に代表される水質汚濁、最近話題となったばかりのPM2.5による大気汚染は誰もが知っている環境問題でしょう。それでは、テトラクロロエチレンやヒ素などによる土壌地下水汚染を知っていますか?土壌地下水汚染とは、土壌や地下水などで構成される地下環境が有害物質によって汚染されることで、1980年代に顕在化し現在でも全国で話題になることの多い比較的新しい環境問題です。陸上に存在する水の大部分を占める地下水は水循環や水環境の土台として重要なのはもちろん、水質や水温が安定していることから貴重な水資源にもなっています。地域によっては、飲料水のほとんどを地下水に依存しています。一方、資産として重要な土地を構成する土壌が汚染されると、環境面だけでなく経済面の価値まで低下してしまいます。このため、土壌地下水汚染は環境、資源、経済といった観点から早急に解決しなければならない問題です。そこで、現在は、数値解析による汚染メカニズムの解明のほか、汚染現場の土壌に棲息する微生物を活性化させて有害物質をその場で無害化してしまう原位置バイオレメディエーション技術の開発を行っています。また、土壌地下水汚染対策を効果的に実施するための評価手法として、リスクマネジメントやLCA(ライフサイクルアセスメント)などの手法の検討を行っています。
(エアースパージング法に関する室内実験の
動画を見ることができます)