山口 敦久 さん
勤務先 | 国土交通省近畿地方整備局 河川部 河川管理課 水防企画係 |
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Q. | 現在携わっている仕事の内容について教えてください |
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A. |
河川の防災情報を全てとりまとめている係であり、河川関係の災害時(風水害、地震災害の初期段階、渇水)には、マスコミ、国土交通本省、出先の事務所、府県などの全ての窓口となっています。また、現実に災害が生じ、また生じようとしている時に人命と財産を災害から守り、被害を最小限にとどめるための人的な活動、いわゆる「水防活動」(水災の警戒、防御及び被害の軽減のための活動)が、河川改修と並ぶ「車の両輪」として、益々重要な使命を帯びてきており、その水防に関する担当をしています。昨年では近畿地方整備局が有する河川情報及び映像情報を在阪テレビ局各社に提供し、各テレビ放送局が提供された情報をもとに放送に活用することにより、住民の洪水被害等の予防や迅速な避難等に役立てています。また、洪水等の防災情報体系の見直しがあり、災害の状況や危険度がイメージできない用語(例えば、危険水位→はん濫危険水位など)についてはとるべき行動や状況を示す語句で構成された用語に改善しており、府県市町村担当者やマスコミなどを通じて一般住民に周知したりもしています。 |
Q. | 大学で学んだことで今の仕事に役立ったのはどのようなことですか |
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A. |
今の部署においては授業や研究において直接仕事に役立つものは少ないように思います。もちろん、土木関係の専門科目において基礎として知っているのは当然ですが、実務的にとなるとパソコンの操作、Word,Excel,Powerpointなどのアプリケーションソフトの扱い方を情報処理の授業や研究などで使ったぐらいでしょうか。ただ、研究においては、ものの考え方や文章については論理的に考えるようになったと思いますし、その部分は活かされているのかなと思います。また、以前の下水道の部署にいた時には、下水道計画のある部分においては大学、大学院時代に研究していた分野と多少なりとも精通する部分があったので、理解がしやすく役に立ったところはありました。 |
Q. | これまで関わってきた仕事の中で印象に残っていることがあればお聞かせください |
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A. |
最初の配属先がダム工事事務所で、ダム本体工事の設計?積算を担当しましたが、ダム本体工事は一本の工事の中に工種があまりにも多いため、各工種を担当別に分けて作業をしていました。当初は用語の言葉がわからない上に何を進めていけばよいのかがわからず、上司からは現場へ行けと言われ、よく現場の方に出向いてダムができあがる工程や各工種の作業に立ち会い、事務所に戻っては積算していたのが印象に残っています。幸運にも、その時にはダム本体の最終コンクリート打設や試験湛水に立ち会えたのも貴重な経験だったと思います。また一方で、下水道の部署にいた時には、下水道事業の指導?監督及び助成担当で、予算関連や下水道の諸問題、今後の方向性等について府県政令市に指導する立場だったので、自治体からの問いあわせには中途半端では答えることができず、法令や手引きなどを読みあさっては説明していたのが印象に残っています。 |
Q. | 就職して「大学時代にやっておいたら良かった」と思うことはありますか |
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A. |
コンクリートや鉄筋、測量、土木機械などの土木分野に加え、CADについてもっと勉強しておけばよかったと思います。土木採用で入省しているため、実際に工事の設計?積算を行う際には、上記の分野については必須なので、今にしてみたら、授業の際に特に意識を持って勉強しておけばよかったかなと思います。 |
Q. | 現在環境システム学科で学んでいる後輩やこれから環境システム学科を受験しようと思っている受験生に向けてアドバイスをお願いします |
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A. |
環境システム学科で学んでいるみなさんは、これから何をやりたいのか、どういう分野を将来社会で活かしていきたいのか見つけて、目的意識をもって勉強や研究を続けて下さい。また就職や進路などでは先生などに相談すれば、何か方向性が見つかると思いますのでよく先生と相談して下さい。それに大学は一番時間が取れる時期なので、バイトやクラブ活動など自分の好きなことにも没頭して充実した大学生活を送って下さい。また、環境システム学科の受験を考えているみなさんは、この学科は土木、建築、造園と幅広い分野の先生の授業を受けることができ、建築や都市計画、緑地環境や水環境などについて勉強したい人などには十分に満足できる授業を受けることができると思います。ただ、広範囲であればあるほど、それには色んな分野の勉強が必要になり、数学、物理、化学はもちろん、人文や英語などの分野の知識も必要になると思いますので、今の勉強をしっかりして、幅広い知識と教養を身につけてください。和歌山は自然豊かな上、のんびりしている土地柄で気さくな人も多く、私自身は居心地がよかったので、実り多い大学生活を送れると思いますよ。 |
※2007年7月12日現在の調査に基づいて記載しています。