らせん状分子ヘリセン誘導体の効率的な合成方法の開発と物性に関する研究
ヘリセン化合物
DNAとの相互作用
芳香環が6個以上オルト位で縮環するとその分子はらせん状にねじれます。この分子はヘリセンと呼ばれ極めて安定な化合物で、右巻きと左巻きがあるらせん構造に由来する不斉(キラリティ)を有するため、光学的に安定なエナンチオマーを単離することができます。光学活性ヘリセンの有効な合成法がほとんど知られていないため、ヘリセン分子を用いた不斉反応や分子認識の研究は未知の領域です。そこで、光学活性なヘリセン分子の効率的な合成方法の確立とその機能や物性を明らかにする目的で研究を行っています。また、ヘリセン分子にDNAと相互作用する性質を見いだしたため、この性質を基に抗ガン剤への応用を検討している他、特徴的ならせん構造に由来する特異な反応性に関する研究も行っています。