単純な部品から複雑な構造体へ~金属化合物の「積み木細工」
我々は、金属酸化物を集積させた「ポリオキソメタレート」と金属過酸化物を集積させた「ペルオキソポリオキソメタレート」の研究を、主に合成と構造決定、反応解析の面から行っています。この化合物群では、四面体や八面体、ピラミッド型など数種類の単純なユニットを積み上げることにより、実に多彩な構造体が形成されます。メインとなる金属はタングステン、モリブデン、そしてバナジウムですが、さらに様々なイオンを使用することにより、構造体形成の可能性が広がります。これは、あたかも元素の周期表全体を駆使して「積み木細工」を行うようなものです。得られた集積体は、組成や構造により無機材料の前駆体、触媒、光学?磁気材料など幅広い応用分野を持っており、得られたものに応じた展開も図っています。また、過酸化物を活用した金属資源回収、バナジウム化合物での生物無機化学的観点からの研究など、周辺分野への展開も試みています。