【レポートup!】第31回「 笑いと美術 -西洋伝統絵画のもうひとつの側面-」
公開日 2011年04月20日
日時 平成23年4月20日(水) 19:00~20:30
話題提供者 高橋健一(和歌山大学教育学部准教授)
こんにち美術館で声を出して笑うひとはいないでしょう。ルネサンスやバロックの巨匠たちの名画なるものを鑑賞するとなれば、なおのこと。私たちはそれらを前に、つい顔をしかめてしまいがちです。?
けれど、画家もその作品を求めたひとも、みながみな生真面目でメランコリックだったわけではありません。彼らだっておもしろいことが大好きだったのです。
私たちがよく知っている昔の作家たちの絵には、じつはさまざまな笑いが意図されていたりします。その西洋伝統絵画のもうひとつの側面をご紹介します。
当日の?レポート
<概要>
いつもより大きなスクリーン
16世紀イタリアバロック絵画の巨匠カラヴァッジョの『「ジプシー女」の占い師』の解説から始まり、様々な絵画のなかに見え隠れする作者の意図を想像しながら、そこに「笑い」を読み解いていった。
寓話的な絵画のなかには高尚な道徳よりも差別や偏見にもとづく「嘲笑」が、一見すると芸術的な絵画のなかにも男女の官能的な関係を象徴する「艶笑」が隠れていたりする。尾形光琳の『紅白梅図屏風』もよく見れば???。
時として、芸術家は「自嘲」し、権威を「冷笑」しもする。かのルネサンスの巨匠ミケランジェロの『最後の審判』のなかには彼の自虐と教皇庁儀典長への当てつけが描きこまれている。
現代美術に目を転じれば、ダダイズムの芸術家デュシャンは小便器に『泉』というタイトルをつけ、『モナ?リザ』にヒゲを書き加えることによって美の追求や芸術家のオリジナリティを否定し、既存の芸術を「笑い」飛ばした。そして、ポートレイトの模造で有名な森村泰昌の作品は鑑賞者の「忍び笑い」を誘う。
次々と個性的な絵画が登場
<ひとこと???>
ルネサンスから現代日本までの数々の絵画を「笑い」を切り口にした解説付きで鑑賞した今回の浪切サロン。美徳も悪徳も含めた人間の営みを作品のなかに見いだしていく美術史の奥深さに触れることができ、隠れた真意を見いだすという絵画鑑賞の新たな楽しみ方を教えてくれるものとなりました。
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会場 | 〒596-0014 岸和田市港緑町1-1 岸和田市立浪切ホール4F研修室1 [网易体育] |
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開催日時 | 平成23 年 4月20日(水) 午後7時~8時半 |
参加費 | 無料 |
申し込み | 不要 |
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