飲酒による健康被害
公開日 2024年04月03日
20歳を超えると飲酒が法的に可能となります。古来「酒は百薬の長」などといわれ、身体に良いといわれたりもしますが、あくまで少量の飲酒に限ってのことであり、過度の飲酒は短期的にも、長期的にも健康を害する要因になります。
お酒は種類によって、その主成分であるアルコールの濃度(度数)が異なります。ビールの度数は約5%、日本酒やワインで約15%、ウイスキーで約40~50%、さらに高い度数のお酒としてはテキーラやウオッカ等があります。アルコール含有率の高いお酒を飲むと血流に入るアルコールの量も多くなり、身体に対する影響が大きくなります(表1)。アルコールは脳を麻痺させる作用を有するため、血中アルコール濃度が上昇すると呼吸や循環を制御する脳幹部が麻痺し、呼吸停止、心停止が起こり死に至ります(急性アルコール中毒)。飲酒開始から1時間以内に泥酔状態になった場合や1時間に日本酒1合あるいはビール10本程度のアルコールを摂取した場合には急性アルコール中毒が疑われます。急性アルコール中毒に対する解毒薬はないので、短時間に大量のアルコールを摂取することは厳に慎まなければなりません。また、「一気飲み」は急性アルコール中毒の原因となり、生命に危険を及ぼすので自分でも絶対にしてはいけないし、他人に強要してもいけません。
表1.アルコールの血中濃度と身体に対する影響
習慣的な飲酒の結果、アルコールの精神的?肉体的な薬理作用に強く囚われ、自らの意思によって飲酒を中断できなくなり、強迫的に飲酒を繰り返す状態をアルコール依存症といいます。アルコール依存の状態では長期間のアルコール摂取の影響により肝硬変、食道癌、膵臓炎などの内臓疾患、糖尿病、痛風などの代謝疾患、高血圧などの循環器疾患の罹患率が高くなります。また、長期の飲酒により神経系への作用として幻覚症状、精神錯乱などの精神症状の出現もみられます。さらに、精神症状にともなって様々な事件や問題を引き起こすため、社会的な信用を失うことがあります。アルコール依存症の可能性を自己判断する項目を下記に記載するので参考にして下さい。
飲酒状態の自己判断
1.飲酒量を減らさなければならないと感じたことがありますか。
2.他人があなたの飲酒を非難するので気にさわったことがありますか。
3.自分の飲酒について悪いとか申し訳ないと感じたことがありますか。
4.神経を落ち着かせたり、二日酔を治すために、「迎え酒」をしたことがありますか。
1~4のうち、2項目以上当てはまる場合はアルコール依存症の可能性がある。
アルコール摂取に際しては短期的にも、長期的にも身体に悪影響を及ぼさない適量の飲酒を心がけましょう。